2021年4月2日金曜日

北尾トロ仕事帖2021年3月 高く帆を上げ、風を待つ

松本から埼玉県に引っ越して1年経った。

引っ越してすぐコロナ禍に見舞われ、自粛生活が始まった。

予定していた取材はほとんど中止か延期になり、

マスクが店から消えた。

1年経ってもコロナ禍は去らない。

マスク着用は当たり前になり、

用がないと都内に出なくなった。

取材や打ち合わせを除くと、

ライターは普段からリモート生活だから

影響は少ないと言えばそうだが

外の空気を吸い、人の蠢きに触れてこそ

アイデアだって浮かぶもので

ネットでは代用できない部分が多い。

この1年は、手持ちのカード(企画)を

勝負できる形に整え(ブラフではなく)ることが

自分にできることだった。

それが大詰めを迎え、2冊の本を

完成寸前にこぎつけることができた。


1冊は『犬と歩けばワンダフル
 密着!猟犬猟師の春夏秋冬』で
4月26日に集英社から発売される。
松本にいた頃から2年半かけて取材した本だ。

もう1冊は信濃毎日新聞社から。
『そろそろ本気で信州移住』という本。
こちらも4月末の発売予定だ。
こちらは信州に移住した35組の人たちの体験記。
僕は編著者の立場で参加し、
移住者たちに書いてもらった
アンケートをもとに取材をし
アンケート部分の原稿化と
インタビューのまとめを行った。
この2冊は、コロナ禍での成果として
感慨深い本になるだろう。
コロナのため取材に同行できた
回数はわずかだったが
カメラマンの奮闘で
良い写真がたくさん獲れた。

次の本の仕込みも去年からずっとやっている。
そのひとつが「お茶の水大勝軒」の
田内川真介さんを追う仕事。
12月、志賀高原にオープンした
「山ノ内大勝軒」へ二度目の訪問。
都内ではご家族を含む長時間のインタビューもさせてもらった。
事情あってストップしていた
"マリアになった魔莉亜"の取材も
そろそろ再開できそうだ。

自粛ムードは少なくとも今年の後半まで続くだろう。
そのあいだにできることを
できるだけやる。
いつでも走り出せるように
高く帆を上げ、風を待つ。
神楽坂で友人や高校生と
ダ・ヴィンチ連載でついに
佐伯泰英本に挑むことに。

<原稿>

・「そろそろ本気で信州移住」

(信毎本のWeb 信濃毎日新聞社)

  第20回 親切で優しい南木曽の方々に助けられて、私たちは元気です!

  愛知県名古屋市→木曽郡南木曽町

  第21回 きたときは「ひとり」でしたが、いまでは家族が「3人」に増えました

  神奈川県川崎市→上伊那郡中川村

 第22回 子育て支援の手厚さが移住の決め手になりました

 神奈川県→上伊那郡宮田村

 第23回 都会と田舎の“おいしいとこどり”を狙った移住計画に実母が参戦!

 東京都→北佐久郡御代田町

 第24回 保育園を作る目標を叶えた。収入は減った。でも、満足してます

 東京都→下高井郡山ノ内町

 第25回 定年後の移住。最初は「なんで僕はここにいるんだろう」と思いました

  愛知県安城市 → 東筑摩郡山形村

 第26回 飲食業ならすぐ決まると思っていた。仕事探しがいちばん難しかった

  東京都大田区→北安曇郡松川村

 第27回 「なぜ自分たちはここへ移住したのか」を地域の人に伝えよう

  栃木県大田原市→松本市→長野市→下水内郡栄村

  第28回  直感のうごめきを聞き入れれば、流れるように何かが始まる

  東京都練馬区→上高井郡高山村

  第29回  解体から内装までDIYして、手持ち資金でカフェを開業

  東京都台東区→諏訪郡下諏訪町

  第30回 「子どもは村の宝だ」と思ってくれる人たちの中で暮らせる幸せ

  兵庫県神戸市→木曽郡木祖村/丸山 雅さん


・犬がいるから猟をする~猟犬猟師の狩猟人生

(狩猟生活Vol.8 山と渓谷社)

・初めての店で、何頼む?

(danchu5月号 プレジデント社)

・「そろそろ本気で信州移住」まえがきなどの原稿

(信濃毎日新聞社)

・トロイカ学習帳 第157回

その文章は自分を照らす鏡

前回手紙を書いたのはいつですか?

(ダ・ヴィンチ5月号 KADOKAWA)

[新連載]知らぬがホットケない 第1語「SDGsの7番」

(EnergyShift)

・知らぬがホットケない 第2語「水素」

(EnergyShift)