2016年6月28日火曜日

東京ヤドカリ日記6.16

2016年6月16in→17out
宿泊地/大田区雪谷/ヒラカツ荘

今日で松本を出て10日目。出張もあり、だいぶへばってきた。
ヤドカリは東京滞在時に仕事をなるべくこなつつ、慣れない場所で寝泊りし、睡眠不足にもなりがちだから、ぼくの年齢や体力からすると一度に10日間を超えるときつくなるようだ。
今日の訪問先はヒラカツこと平野勝敏が、この春パートナーの佳代子さんと新しく立ち上げた会社の事務所。五反田から池上線で数駅で、自宅も徒歩数分の場所にある。
駅まで迎えに来てもらい、雨の中を一緒に歩く。
ヒラカツとは10数年来のつきあいになる。最初はぼくがネット古書店をやっていたときの客としてで、イベントなどにもよく来てくれた。いい本を買っていくし、本の好みからして気が合いそうだというので、だんだん話をするようになっていったのだ。そのうちにフリー編集者であることがわかり、仕事を共にするようになるのだが、そこまでたどりつくには数年間かかった。つまりぼくとヒラカツは仕事を通して知り合ったのではなく、店主と客の関係から顔見知りになり、友だちになり、仕事もするようになっていったのだ。『季刊レポ』では5年間、副編集長をやってもらった。とくにこの7~8年はみっちりつきあってきたと思っている。だからヒラカツが神保町の事務所を畳み、佳代子さんと会社を作って編集業務以外のことを始めることになっても縁は切れないし、仕事の話などしなくてもいくらでも話題はあるというわけなのだった。
「先に荷物を置いて、食事がてら一杯やりましょうか」
それはありがたい。寝袋を持参したのでデイパックがパンパンなのだ。
事務所についたら佳代子さんがいて、土産というほどでもないがコーヒーなど渡したら、余計な気を使うべからずと強く言われた。「今回はいただくけど、つぎからは手ぶらで。私たちもとくに何もしないから。気楽に使ってくれる方が嬉しい」
ヤドカリにおいてもっとも大事なことのひとつである、共有するルールや距離感が、これではっきりした。お互いに余計な気を使わないことが、ヒラカツ荘では重視される。
事務所は振り分け式の2部屋とキッチン(リビング)からなり、住宅用の物件なので居心地がいい。
寝袋持ってきたけど、布団も貸してもらえた。
一段落したので居酒屋風の蕎麦屋へ。ふたりに新事業のことを聞いたりして、締めの蕎麦までたどりつき、シャワーの使い方など教えてくれたヒラカツが自宅へ帰ったのが12時ごろ。
静かな住宅街は物音がしないね。

ぐっすり眠って朝6時半に起き、取材先の築地へ向かった。これ終って歯科医へ行き、今回の東京ミッションは完了。