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2016年7月15日金曜日

東京ヤドカリ日記7.07〜7.14

  yadokari diary in tokyo 
2016.7.07-7.14
<ハナ宿・民宿ミヤサカ・ちあき庵>

朝、ちあき庵より外を眺める

7.07 四谷のホテル
四ツ谷の宿に3名で宿泊

今回のヤドカリは7泊8日の日程だった。
初日は『トロイカ学習帳』(「ダ・ヴィンチ」連載)で四ツ谷の宿に泊まり込み取材。
メンバーは編集川戸君と日高トモキチ画伯と自分の3名。深夜まで本の検証作業に費やし、寝たのは4時ごろ。
けっこうヘロヘロになってチェックアウトし、そのまま打ち合わせその他やったため
午後は眠くてしょうがなかった。
自由に昼寝などしにくいヤドカリでは、徹夜はもっとも避けたいことのひとつだと実感。
夜には宴会があり、23時ごろにハナ宿に到着。

7.08-7.10&7.13 ハナ宿(東村山)
愛犬ハナは少々夏バテ気味である

ハナ宿こと義母の家はヤドカリ中もっとも多く泊めてもらっている定宿。
今回は週末の3泊と、松本に戻る前の1泊、計4泊お世話になる。
このごろは義母とも親しくなり、気軽に泊まれるようになってきた。
日曜日には洗濯もさせてもらった。
義母はマイペースな人なので、ペースを乱さなければ良い。
頼めば食事の世話などもしてもらえてありがたいかぎりである。
そして、食事などはむしろ頼んだ方が喜ばれることもわかってきた。
普段はひとり暮らしなので、誰かと食事をするほうが楽しいし、張り合いもあるということらしい。
なので、朝は一緒に食べるようにしている。
お返しにボクができることは少ない。ハナの散歩や、クルマにガソリン入れに行くことくらいだ。
「いるだけでもいいのよ。男の人が出入りするだけで防犯になるから」
立場的にはハナと同等だ。

7.11 民宿ミヤサカ(巣鴨)
民宿ミヤサカ1DK。家主は奥の部屋、ぼくはDKで就寝


11日は京成小岩で夜に用事があって終わりの時間が見えなかったので
チェックイン時刻に寛容な民宿ミヤサカを予約した。
ヤドカリ開始以来、4泊目だ。
宮坂君所望の酒を買い、23時に到着。シャワーを浴びる。
その間、IT関連の会社員の宮坂君はゲームをしていた。
マンガとゲームが好きな34歳で、ぼくとは2まわり歳が離れている。
このゲームがいかに面白いかを説明しながら手を動かすが、こっちは聞いちゃいない。
するとますますムキになって説明しようとし、集中が途切れ、失敗してしまう。
そんなことで、たいした話はしなかった。
前回宿泊してからこっち、
宮坂君に不運や不幸が訪れなかった証拠でもある。悪くない。
そして、2時になると「寝る」と言ってふとんに入るのである。
朝は9時半に家を出る。
なぜか朝風呂に入るのが習慣。
ボクは早起きしたので、せめてものお礼にと湯をためてあげた。
都営三田線に一緒に乗り、途中で別れた。

深夜、そして朝、宮坂君はゲームをする


7.12 ちあき庵(牛込)
ちあきさん78歳、ガン闘病中。この部屋に泊めてもらった。

今回、初宿泊となったのが、ちあきさんが住む<ちあき庵>だ。
ぼくの事務所からは徒歩で10分くらい。
しばらく前、事務所の大家であるユーコさんの家に食事に招かれて行ったら、
ちあきさんもきていて、初対面同士挨拶などするうちに、
世話好きなユーコさんが「この人、宿なしだから泊めてあげなよ」と言い出したのだ。
そうしたら、ちあきさんが、ぜひいらっしゃいと快諾。
先日、いつ来るんだと連絡があり、おじゃますることになった。

「ぼくはガンでね、医者から余命2年と言われてるんです」
いきなり、軽い口調でちあきさんは言うのだった。
闘病中であることは前回聞いていたが、そこまでとは。
髪がふさふさなのは抗がん剤治療をしていないためらしい。
「元気そうだし、歳も取っていて進行が遅いはずだから5年は大丈夫ですよ」
励ましてるんだか何だかわからない返事をしてしまった。
ちあきさんは元新聞社勤務で、関西の人。
体調を崩し、東京で暮らす子どもたちから、そばに住んでほしいと提案されて
3年ほど前に東京に来た。関西の家はそのままにしてあり、こちらではマンション暮らしだ。
ところが今年になって、奥さんが倒れ、入院してしまった。
それ以来、一人暮らしをしている。
新聞社時代のこととか、いろいろ喋っていたら、11時近くになってしまった。
いつもは10時過ぎに床に就くそうだが、気分よく喋って遅くなったなら
それもいいんじゃないかと思う。

翌朝、ちあきさんが入れてくれたコーヒーを飲みながら帰る支度をしていると、
「ぼくの体調が悪いときでなければいつでもきていいし、何日いてもいい」
もともとご夫婦ともオープンな人柄で、
関西にいるときは、旅人が半年も居ついたこともあったらしい。
にぎやかなのが好きなのかな。だとしたら、ひとりは寂しいだろう。
子どもたちがそばにいるとはいえ、それぞれの生活がある。
食事ひとつとってもなぁ、と思い、
「ぼくが神楽坂の事務所にいるとき、ご飯食べに行きましょう」と誘ってみた。
そういう、ごく普通にできていたことが思うに任せないんじゃないか。
ちあきさん、喜んでくれたみたいだった。今度、蕎麦屋か中華に誘ってみよう。
8時になったので席を立つ。
「合鍵、持っていきますか?」
今日のところはいいですと答えつつ、
様子を見がてら、ときどきちあき庵に泊まろうと決めた。

   ちあきさんの寝室